2011年10月23日

詩集・花がたりV 水の花 「嵯峨京子」

amadare.jpg水の花

臥した母が
雨だれをきいている

ただ
まるくなるため
耐え抜いたものだけが
つぎから つぎへ
身を投げてゆく
水の性のうつくしさ
posted by 音の旅人 at 10:50| 大阪 ☀| Comment(0) | 詩集・花がたり「嵯峨京子」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月22日

詩集・花がたりV 曼珠沙華 「嵯峨京子」

曼珠沙華
manjusyage.jpg
先に逝く人へ
別れの際にこと寄せて
野辺送りの花にみたてる
もうよそう

軀のどこかに毒を秘め
みえない地下の血脈に
しっかり結びつき
ひらく花は
少女の頃の予感どおり
女の業そのままではなかったか

とりのこされた者の
積みあげる年月だけ
鮮やかに咲きほこる曼珠沙華

待ち続けるだけ待ったら
今度は私の花を咲かせよう
花は滴る血に似て
何よりも美しく
染まっているに違いない

人がもう
この世にいないことを
毎年告げにやってくる
赤い曼珠沙華

posted by 音の旅人 at 15:20| 大阪 ☁| Comment(0) | 詩集・花がたり「嵯峨京子」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月12日

詩集・花がたりV 花の寺 「嵯峨京子」

花の寺

ならべられた写真は
すべて
わかいおとこ
よりそう花嫁
たちこめる香の煙
若くして逝った息子へ
せめてこのねがい
かなえたまえと
おさめおく花嫁人形は
逆縁にそなえる花
こころをこめ
つくりあげたひとがた
白無垢をきせ
紅をさせば
入魂のしるし
儀式の前の儀式

花は無口だから美しい
ふきこむいのちは
母のなかの女ののおもい
ものいわぬ花嫁の
くちもとなまめいて
ほほがいろづく
似るおもざし

これぞとこしえに
かわらぬちぎり
かなえられたねがい
むねに抱いて帰ってゆく顔
みちたりた女のもの
posted by 音の旅人 at 13:28| 大阪 ☀| Comment(0) | 詩集・花がたり「嵯峨京子」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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